Letter 宇宙:自転傾斜角が小さい期間に赤道の不安定な氷の昇華によって火星の高緯度地域で形成された氷に富む最近の堆積物 2004年10月28日 Nature 431, 7012 doi: 10.1038/nature03055 火星探査機オデッセイに搭載された一組のガンマ線分光計による観測結果は、火星両半球の高緯度地域で地下浅いところに氷の広大な貯蔵場所が存在していることを示しているとされてきた。氷量は、緯度60度で70パーセントから両極付近で100パーセントまでの範囲にあると推定され、おそらくほとんどの場所で数センチメートルの不凍物質に覆われていると考えられている。この結果は、水氷に富み高緯度地域にのみ見られる氷河周辺様の特徴をもった、厚さ数メートルの層状堆積物が示す形態学的証拠により支持されている。この分布を説明するために、表土の孔隙と大気との間で拡散によって水が交換されたとする考えが提示されてきたものの、これだけの氷量がその過程により実現されるのは困難である。代わりの説明として、自転傾斜角が大きかった期間に極の貯蔵場所から氷が輸送され高緯度地域で直接的に再堆積して、氷に富んだ堆積物が形成されたという考えがあるが、これらの結果は他のモデルで再現することが難しかった。本論文ではそれらの考えに代わって、小さな自転傾斜角(25度未満)の時期に高緯度地域の氷の堆積物が、それ以前の長期間に及ぶ大きな自転傾斜角の時期に形成された赤道上の氷の貯蔵場所から氷が昇華した結果として、両半球で直接的に堆積し形成されたという考えを提示する。我々は、全球気候モデルのシミュレーションから推測される氷の堆積速度を用いて、過去1,000万年にわたる火星の自転傾斜角の大きな変動が、高緯度地域と極地域において堆積作用によるそのような厚さ数メートルの層状堆積物の形成を可能にしたことを示す。 Full Text PDF 目次へ戻る