Letter 医学:MYCの不活性化により肝細胞癌は分化多能性をあらわし休眠状態になる 2004年10月28日 Nature 431, 7012 doi: 10.1038/nature03043 肝細胞癌は一般に治療抵抗性である。本研究で我々は、MYC癌遺伝子を不活性化するだけで浸潤性肝癌の持続的退縮が起こることを報告する。MYCを不活性化すると、癌細胞全体で肝細胞と胆管を形成する胆管細胞への分化が起こり、それに伴って腫瘍マーカーであるαフェトプロテインの発現の急激な減少と、肝細胞マーカーであるサイトケラチン8および癌胎児性抗原の発現の増加が認められ、細胞によっては肝臓の幹細胞マーカーであるサイトケラチン19の発現が増加した。生物発光画像法を用いたin vivoでの観察では、MYCが不活性化されている間はこれらの腫瘍細胞の多くが休眠状態にあるが、MYCが再び活性化されると、直ちに腫瘍細胞は新生物性特性を回復することがわかった。アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーションの結果により、休眠中の肝細胞と再び腫瘍化した肝細胞は同一の分子的特徴を有していたことから、これらが腫瘍細胞に由来するクローンであることが確認された。今回の結果は、大部分の難治性癌における癌遺伝子の不活性化が腫瘍発生を逆行させる仕組みを示唆するものである。癌遺伝子を不活性化すると、腫瘍の多分化能があらわれて正常な細胞系統および組織構造へと分化するが、一方で腫瘍化の潜在能力は維持されるため、腫瘍は休眠状態にとどまる。 Full Text PDF 目次へ戻る