Letter 生態:生物撹拌種は複雑で生物地球化学的な相互作用を介して生態系機能を高める 2004年10月28日 Nature 431, 7012 doi: 10.1038/nature03042 生息地破壊や過剰な生物採取・乱獲、気候変動といった、現在進みつつある生物多様性への脅威を考えると、生物種の消失がもたらす結果を予測することはきわめて重要である。いくつかの実験研究から、生物多様性が減少するのと同時に生態系の能力(たとえば一次生産力)が低下することが報告されているが、生物の及ぼす作用と、それと混同されがちな非生物的な諸要因それぞれの相対的な影響については議論の最中にある。単一の栄養段階(たとえば草原の植物)に注目した調査研究は数件あるものの、生態系全体の研究からは、フィードバック機構、隠れた作用促進者、出現しつつある特性が複数の層をなして、種消失の結果予測をいっそう難しくしていることが明らかになっている。今回我々は、地球で最も広く見られる生態系の1つである堆積物の積もる海底生息域における、機能的に重要な生物と、少なからぬ生物複雑性について報告する。実験的な野外測定から、埋在性(海底堆積物中)のグレーザー/堆積物食者であるブンブクウニ類の数度が、一次生産と正の相関関係にあることが明らかになった。これは、こうした生物の活動が栄養分の流れを変化させて、底生微生物(堆積物中にすむ微生物や単細胞藻類)による生産活動の条件を向上させるからである。トローリング後にブンブクウニ類が減少するという報告は多数なされており、この生物撹拌種を重要な海洋の底生性−遊離性の物質流動に結びつけた我々の研究は、沿岸海域の生産力に対する影響の可能性をはっきりと示すものだ。 Full Text PDF 目次へ戻る