Letter 細胞:造血幹細胞の自己複製にはATMによる酸化ストレスの制御が必要である 2004年10月21日 Nature 431, 7011 doi: 10.1038/nature02989 「毛細血管拡張性失調症変異」(Atm)遺伝子は、DNA損傷、テロメアの不安定性、酸化ストレスに応答して、重要な細胞周期チェックポイントを活性化することによりゲノムの安定性を保つ働きをしている。この遺伝子の変異による不活性化は、常染色体劣性疾患である毛細血管拡張性失調症の原因となる。この疾患の特徴は、免疫不全、進行性の小脳性運動失調、眼の毛細血管拡張、精子形成異常、早期老化、リンパ腫の多発である。本論文では、ATMが前駆細胞の増殖や分化にはそれほど重要ではないのに対して、造血幹細胞(HSC)の骨髄再構築能には必須の機能を果たしていること、それがテロメアの制御と独立していることを明らかにする。Atm-/-マウスでは24週齢以上になると、HSC機能の異常が原因で進行性の骨髄不全を起こし、これに伴って活性酸素の増加が認められた。抗酸化薬の投与によって、Atm-/-HSCの再構築能が回復して、骨髄不全を防ぐことができた。活性酸素の増加に応答したp16INK4a網膜芽細胞腫(Rb)遺伝子産物経路の活性化が、Atm-/-HSCの機能低下を導いていた。これらの結果から、HSCの自己複製能力がATMによる酸化ストレスの抑制効果に依存していることがわかる。 Full Text PDF 目次へ戻る