Letter 医学:抗マラリア合成トリオキソラン(trioxolane)治療薬開発候補の同定 2004年8月19日 Nature 430, 7002 doi: 10.1038/nature02779 30年以上前のアルテミシニンの発見は全く新しい抗マラリア性の構造原型、すなわち独特の1,2,4-トリオキサン複素環内にファーマコフォア(薬理作用団)となる過酸化物結合を有する分子をもたらした。これまでの研究結果から、アルテミシニンおよび関連の過酸化物抗マラリア治療薬では、ヘムによる還元的活性化の後に殺寄生虫活性が現れること、ヘムはマラリア病原性寄生虫によるヘモグロビン分解の結果放出されることが示唆されている。この不可逆な酸化還元反応によって炭素を中心とするフリーラジカルが生じ、その結果ヘムとタンパク質(酵素)のアルキル化が起こる。このような酵素の1つである筋小胞体・小胞体ATPアーゼ、PfATP6は、寄生虫の生存に必須である可能性がある。また、アルテミシニン薬のどれについても薬剤耐性が実証されていないことは注目すべきである。半合成アルテミシニンであるアルテメテル(artemether)とアルテスネイト(artesunate)は寄生虫負荷を速やかに低下させるため、マラリアの化学療法に大いに役立ち、優れた治療指数が得られて転帰も良好である。しかし、治療薬として考察した場合、アルテミシニン薬には、化学的問題(半合成法による供給、純度、価格)、生物薬剤学的問題(生物学的利用能が低く、薬物動態学的性質が限定されている)、また療法上の問題(長期治療方式だが患者側のコンプライアンスが得にくいことや症状の再燃)があり、治療におけるその有効性を制限している。本論文では、薬剤開発共同研究プロジェクトでの合成過酸化物型抗マラリア治療薬候補の同定について報告する。 Full Text PDF 目次へ戻る