Letter 生化学:炭疽菌毒素と宿主細胞受容体が作る複合体の結晶構造 2004年8月19日 Nature 430, 7002 doi: 10.1038/nature02763 炭疽菌毒素は防御抗原(PA)、致死因子(LF)、そして浮腫因子(EF)というタンパク質で構成される。毒素が宿主細胞に入る最初の段階は、標的細胞表面にある受容体のPAによる認識である。次に受容体に結合したPAの切断により、EFとLFが結合して7量体のPA63プレポアが形成可能となり、これがエンドサイトーシスを誘発する。エンドソームで酸性化されるとPA63は膜中に小孔(ポア)を形成し、この小孔を通ってEFとLFが細胞質中に移動する。これまでに、きわめて近縁の2種の宿主細胞受容体、TEM8とCMG2が見つかっている。どちらの受容体もPAと高い親和性で結合し、毒性を媒介しうる。本研究では、PA-CMG2複合体の分解能2.5Åでの結晶構造を報告する。この構造から、広範囲にわたる受容体−病原体相互作用面が明らかになり、それがインテグリンによる細胞外マトリックスの非病原性認識に似ていることが判明した。結合表面は2種の受容体で、また異なる種間でも厳密に保存されているが、インテグリン・ドメインでは全く異なっており、これにより相互作用の特異性が説明される。CMG2はPAのドメイン2つと結合しており、受容体に結合したPA637量体のモデリングから、受容体がpHに感受性を示す固定具として機能していて、膜への挿入が正確かつ適当なタイミングでまちがいなく起こるようにしていると考えられる。この構造は炭疽菌抗毒素の発見につながる新しい手がかりとなり、また癌治療薬デザインにも助けとなるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る