Letter 神経:ショウジョウバエの長期記憶成立に関与するカテプシン活性の調節 2004年7月22日 Nature 430, 6998 doi: 10.1038/nature02726 短期記憶は数分から数時間しか持続しないのに対し、長期記憶(LTM)は数日から、場合によっては一生の間持続することもある。LTMは一般に間隔を空けて繰り返される訓練によって作られ、遺伝子発現調節が関わっているので、LTM成立の初期段階で転写因子が関わっていると考えられる。しかし、記憶形成におけるエフェクター遺伝子の関与が直接的に示された報告はほとんどなく、LTMの成立に働く機構の多くは、未解明のまま残されている。本論文では、LTMに特異的な障害がみられる、crammer(cer)と名付けたキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の変異体について報告する。このcer遺伝子は、カテプシン類と呼ばれるシステインプロテイナーゼのサブファミリーの一つに対する阻害物質をコードしている。カテプシン類のあるものは、ヒトのアルツハイマー痴呆症に関係している可能性がある。Cerペプチドは、ショウジョウバエの嗅覚記憶の中枢であるきのこ体(MB)とMB周囲のグリア細胞に見出される。グリア細胞にcerを過剰発現させるとLTMの減弱が誘導されるが、MBニューロンではそうはならない。したがってCerはグリアにおいて機能をもち、Cerペプチドの濃度はLTMに重要なことが示唆される。野生株のショウジョウバエでは、cerの発現はLTM条件付け直後に一過的に減少するが、このことはLTM成立の早い時期にシステインプロテイナーゼが活性化されることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る