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医学:発生の可塑性とヒトの健康

Nature 430, 6998 doi: 10.1038/nature02725

多くの動植物はいろいろな方向に発生・発育する能力を備え、これから生きることになる環境によく適応した特徴を作り上げる。例えば、不都合な環境では小さいサイズや低い代謝であるほうが生存率が高まるが、資源がもっと多い場合には大きいサイズや高い代謝率のほうが繁殖成功に有利である。こうした特徴は一生の早い段階に誘導されたり、両親や祖父母が接した信号によって設定されてしまうことが多い。しかし、ある環境に発生的に適応してしまった個体は、成長後に別の環境にさらされた場合、生存が危うくなる可能性がある。その生物学的な根拠は、ヒトの発生・発育と病気のかかりやすさとを理解するのにかかわってくるかもしれない。世界的に多くのヒト母体の栄養状態が良くなってくるにつれ、生まれてくる子供の体サイズや代謝率といった特徴も変化してきた。誕生前の母体環境に敏感に反応することで、各個体は人生初期に得られる信号で予想される環境に最も適するように準備するのかもしれない。しかし一方、両親や祖父母が劣悪な条件で暮らしていた人々では栄養状態や他の環境条件が急速に改善されると、かえって健康に良くない作用が及ぶ可能性がある。初期栄養状態や他の環境要因に反応するヒト発生の可塑性パターンをもっと十分に解明することは、公衆衛生行政に重大な意味をもってくるはずである。

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