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生化学:ヒトDNAポリメラーゼ-ιによるDNAの複製はフーグスティーン型塩基対形成によって起こる

Nature 430, 6997 doi: 10.1038/nature02692

ほとんどのDNAポリメラーゼは、鋳型塩基に対して正しいワトソン-クリック型の塩基対を形成するようにヌクレオチドを組み込もうとする傾向が強い。加えて、どのポリメラーゼでも、可能な4つの正しい塩基対を形成する触媒効率はほぼ同じである。しかし、DNAポリメラーゼのYファミリーのメンバーであるヒトDNAポリメラーゼ-ι(hPolι)はこのような規則の例外である。鋳型がアデニンの場合にhPolιが正しい塩基を組み込む効率は、鋳型がチミンの場合の数百倍から数千倍である。鋳型がグアニンの場合と鋳型がシトシンの場合の効率は、これらの極端な値の中間的な値を示す。本論文では、鋳型のプライマーと、組み込まれようとしているヌクレオチドに結合したhPolιの結晶構造を示す。この結晶構造により、hPolιは鋳型塩基がsyn型のコンフォメーションをとるフーグスティーン型塩基対形成のために「特殊化」したポリメラーゼであることがわかった。このフーグスティーン型塩基対形成は、異なる鋳型塩基に対してhPolιが異なる効率と忠実度を示す根拠となり、また、DNAの複製を妨害する副溝プリン付加物を介して複製を促進させる見事なメカニズムを提供する。

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