Letter 神経:細胞融合を介さずに起こる神経幹細胞の内皮細胞系列への分化 2004年7月15日 Nature 430, 6997 doi: 10.1038/nature02604 体細胞性幹細胞は、予想以上に幅広い細胞に分化する能力(多能性とよぶ)をもち、細胞共培養中、幹細胞に他系列の細胞から発生シグナルが送られるとこの分化能力が誘導されると考えられてきた。しかし最近、幹細胞の多能性を証明したこれらの実験に対する反論が出されている。幹細胞は、シグナルをうけての分化ではなく、細胞融合を介して他の細胞系列に特異的な決定因子(染色体DNA)を獲得することによって、その細胞系列の機能的性質を備えるようになることが明らかにされたのである。今回我々は、ニューロンとグリア細胞になるよう運命付けされていたマウスの神経幹細胞(NSC)を、血管内壁を覆うヒト内皮細胞と共培養した。内皮細胞が存在すると、NSC細胞集団の6パーセントが、ニューロンやグリア細胞のマーカーを発現する代わりに内皮細胞の複数のマーカーを安定的に発現し、毛細管網を形成する能力をもつ細胞へと変化することがわかった。NSCと内皮細胞はそれぞれ外胚葉、内胚葉から発生すると考えられており、これは驚くべき結果であった。固定化によって殺した内皮細胞を生きたNSCと共培養し(細胞融合を防ぐため)、核型分析を行ったところ、細胞融合は起こらないのにNSCが内皮様細胞へと分化することが明らかになった。今回の結果から、幹細胞の多能性はNSCに確かに備わる特徴であり、NSCから予定外の細胞系列への変換は、細胞融合が起こらなくても生じるとの結論が得られた。 Full Text PDF 目次へ戻る