Letter 生態:昆虫の大発生には病原体と捕食者が合同で作用する 2004年7月15日 Nature 430, 6997 doi: 10.1038/nature02569 森林の食葉昆虫がときおり大発生すると経済的損害が生じるため、盛んに研究がなされてはいるものの、こうした大発生が起こる理由は未だ解明途上にある。理論生物学者は、寄主が限られる病原体や捕食寄生者が大発生の原動力になっていると主張している。その理由は、寄主−病原体や寄主−捕食寄生者のモデルから、大発生の時間的経過に似た、振幅が大きく周期の長いサイクルが得られるからである。一方、野外研究者は広食性捕食者が不足すると昆虫大発生が起こると考える。その理由は、通常は低密度の食葉昆虫個体群で捕食が起これば大発生を防ぐのに十分だからである。しかし実際のデータが示す大発生と大発生の間隔は、寄主−病原体モデルや寄主−捕食寄生者モデルの場合よりはるかに変動が大きく、また広食性捕食者モデルの場合よりもはるかに短いため、どちらの説明も十分とはいえない。今回我々は、昆虫大発生が、広食性捕食者と寄主が限られた病原体の両方を組み込んだモデルによって説明可能なことを示す。この寄主−病原体−捕食者モデルでは、食葉昆虫の密度は確率性によって、捕食者に維持される平衡状態と、病原体が引き起こすサイクルとの間で不規則的に変動する。このモデルでは大発生の間隔は長いが不規則となり、データと一致する。我々の得た結果からみて、昆虫大発生を説明するには古典的なモデルを超えて、複数種同士の相互関係を考えるところまで進まねばならないだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る