Letter 生態:大規模な気候変動指数が局所の天候よりも生態過程の予測に優れているように思われる理由 2004年7月1日 Nature 430, 6995 doi: 10.1038/nature02708 北大西洋振動をはじめとする大規模にまとめた気候変動指数は、さまざまな生物種の個体群動態や個体群統計的な比率の変動、表現型値と相関性があるとみられている。一見矛盾したことだが、こうした大規模な指数は生態過程の予測材料として局所の気候よりも優れていることがある。我々は今回、ソーアヒツジの個体群から得た詳細なデータを用いて、年内のある3ヶ月間のどの時点でも多量の降雨か強風か低温が起こると、即座にもしくは数日遅れで大量死が発生しうることを報告する。生態学者が使う局所的気候の測定法のほとんどは、天候と生態過程の間にあるこうした複雑な関係性をとらえることができない。このことは、数ヶ月単位の大規模な季節的気候変動指数のほうが局所の気候要因よりも予測材料として勝っている理由を説明するうえで役立つかもしれない。さらに我々は、気候が個体群生態学的な影響を及ぼす仕組みを理解することの重要性を明らかにする。シミュレーションにより、大量死が起こる季節の最中に悪天候が訪れるタイミングが、食物をめぐる種内競争に重要な作用を及ぼしうることを示して、気候と密度依存性の間に相互作用があることを明らかにする。大規模な気候変動指数もしくは不適当な局所的気象変数を使うことで、この相互作用が隠されてしまうのかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る