Letter 進化:遺伝子のシス調節とトランス調節にみられる進化的変化 2004年7月1日 Nature 430, 6995 doi: 10.1038/nature02698 遺伝子発現の違いは、進化にきわめて重要である。このような発現の違いは、転写開始や転写速度、転写産物の安定性に対立遺伝子特異的な影響を与えるシス調節の変化によって生じる場合や、シス調節配列と相互作用する因子の活性や発現を変化させるトランス調節の変化によって生じる場合がある。シス調節の変化とトランス調節の変化はどちらも遺伝子発現の相違に寄与しているが、シス、トランスそれぞれがどう寄与しているかはほとんどわかっていなかった。今回我々は、近縁関係にある2種類のショウジョウバエDrosophila melanogasterとD. simulansで、遺伝子発現の違いを生み出すもとになったシス調節の変化とトランス調節の変化の分布を調べ、雑種F1で種特異的転写産物の相対的な量を比較することによって、機能的シス調節の違いを明らかにした。トランス調節活性の違いは、雑種における2つの対立遺伝子の発現比率を、親である2つの種での遺伝子発現の比率と比較することによって推論した。種によって発現に違いがある29の遺伝子のうち28遺伝子はシス調節に違いがあり、およそ半数については、このシス調節の違いだけで遺伝子発現の相違が十分に説明できた。トランス調節の違いが影響している遺伝子は55%(29遺伝子のうち16個)で、必ずシス調節変化が伴っていた。これらのデータから、種間の遺伝子発現の違いは幅広い影響をおよぼす限定されたトランス調節変化によって起こるのではなく、ゲノム全体にわたる多数のシス作動性変化によって起こることが示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る