Letter 物理:分極力に起因するサイクロトロン周波数のシフト 2004年7月1日 Nature 430, 6995 doi: 10.1038/nature02682 均一磁場Bのもとでの荷電粒子のサイクロトロン周波数は、粒子の質量mおよび電荷qとωc=qB/mの関係にある。この簡単な関係が、イオンサイクロトロン共鳴質量分析法を用いた高感度の質量比較の基礎となっており、その応用範囲は生体分子の同定や化学反応速度の研究から原子スペクトルの微細構造定数の決定にまで至る。今回我々は、分極性粒子についてサイクロトロンの周波数関係式からのずれを観測したので報告する。単一CO+イオンの高精度測定において、周回イオンに誘起される双極子によりサイクロトロン周波数の測定値がシフトした。我々は、このサイクロトロン周波数シフトを用いてCO+イオンの量子状態を非破壊的に測定した。この効果はCO+イオン全体の双極子モーメントを数パーセントの精度で決定する手段にもなり、同じくらい正確な測定法がほとんど存在しない分子イオンの双極子モーメントを測定する手法を確立した。ここで述べる一般的な摂動は、現在達成できる最も正確な質量比較に影響するので、その応用は、アインシュタインの質量−エネルギー関係や電荷−パリティ−時間反転対称性の直接検証、さらには化学結合の計量にも及びうる。 Full Text PDF 目次へ戻る