Article 遺伝:L1レトロトランスポゾンによる転写の阻害と哺乳類トランスクリプトームにおける意味 2004年5月20日 Nature 429, 6989 doi: 10.1038/nature02536 LINE-1(L1)因子はヒトゲノムに最も豊富にある自律性のレトロトランスポゾンで、ヒトDNAの約17%に相当する。L1レトロトランスポゾンは、2種類のタンパク質すなわちオープンリーディングフレーム(ORF)1とORF2というエンドヌクレアーゼ/逆転写酵素をコードしている。L1 RNAとORF2タンパク質は、哺乳類細胞では過剰発現系を使っても検出が難しい。本論文では、転写産物にL1配列を挿入すると、RNAの発現、ひいてはタンパク質の発現が顕著に低下することを明らかにする。このRNA濃度の減少は、転写開始頻度やRNAの安定性が大きく変化したことによるものではない。L1の発現が少ないのは、転写伸長がうまく行かないことが主な原因である。L1はゲノム中に豊富に存在し、しかも広範に分布する可動性因子なので、L1による転写伸長の阻害がヒト固有の遺伝子の発現に大きく影響している可能性がある。我々は、L1が「分子レベルの可変抵抗器」として標的遺伝子に作用することによって、ゲノム全体にわたって遺伝子発現を変化させているというモデルを提出する。バイオインフォマティクスのデータは、L1が進化の過程でヒトトランスクリプトームの微調節を行う役割を果たしてきたとの仮説に、よく一致する。 Full Text PDF 目次へ戻る