Letter 生態:植物プランクトンにとって最適な窒素:リンの化学量論比 2004年5月13日 Nature 429, 6988 doi: 10.1038/nature02454 Redfieldは、窒素対リンの比の平均値がプランクトン(N:P=16、原子比)と、海洋深層水(N:P=15)で類似していることに着目した。Redfieldは、これが偶然の一致でも、またプランクトンが海洋の化学量論比に順応した結果でもなく、植物プランクトンが自らの窒素固定の必要条件に合致するように海洋のN:P比を調節した結果であると考え、この説は最近のモデル化研究で支持されている。しかし、植物プランクトンが必要とするN:P比は何によって決まるのだろうか。本論文では、植物プランクトンの生理学的性質と資源をめぐる競争に関する化学量論的に明快なモデルを用いて、さまざまな生態学的条件下で植物プランクトンにとって最適となる化学量論比を第一原理から出発して導出した。資源獲得競争が平衡にある時は、リン含量の少ない資源獲得装置に対する割り当てを大きくする方が好都合なのでN:P比は大きくなる。一方、指数増殖期には、リンを多量に含む構造組み立て装置に対する割り当てを大きくする方が有利なので、N:P比は小さくなる。リンが制限された環境では、窒素や光が制限された環境に比べて、組み立て装置に対する割り当てが若干少なくなる方が有利である。このモデルからは、最適なN:P比は生態学的条件に応じて8.2〜45.0の範囲で変動すると予測される。今回得られた結果から、規範とされてきたRedfieldの 16というN:P比が、普遍的な生化学的最適値ではなく、種特異的なN:P比の平均であることが明らかになった。 Full Text PDF 目次へ戻る