Article

細胞:成体の膵臓β細胞は、幹細胞の分化ではなく自己複製によってつくられる

Nature 429, 6987 doi: 10.1038/nature02520

組織でどのようにして正しい数の細胞が生じ、維持されるのかは、生物学の根本的な問題の1つである。組織の代謝回転は原理的には、血液や皮膚、腸で実証されているように幹細胞の分化によって起こる場合と、分化済みの既存の細胞の複製によって起こる場合とが考えられる。最近の研究によって、成体幹細胞が臓器の維持や修復に寄与している可能性が明らかになってきたが、幹細胞がin vivoで、臓器の維持修復に実際どの程度かかわっているかははっきりしていない。本論文では、ある組織がどの程度幹細胞に由来するかを決定するために遺伝的系統をたどる方法を紹介する。出生後の起源について議論が分かれている膵臓β細胞に着目して分析を行い、マウスでは成体になってから、あるいは膵切除後に生じる新しい膵臓β細胞の主な起源が多能性幹細胞ではなく、既存のβ細胞であることを明らかにした。この結果は、in vivoでは最終的段階にまで分化したβ細胞にかなりの増殖能力があることを示しており、β細胞の補充に成体幹細胞が重要な役割を果たしているという考えに対する疑問を投じるものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度