Letter 進化:ネアンデルタール人における意外に速い発育 2004年4月29日 Nature 428, 6986 doi: 10.1038/nature02428 生活史にかかわる形質は歯の成長と密接に関連しており、そのためヒト属(Homo)内の歯の成長の差異から、身体発育がどのように進化したかを判定したり、種間の区別につながるような発育過程の違いを見つけだしたりできる。歯の成長は、エナメル質形成速度(拡張率)から決定できる。我々はホモ・アンテセソール(Homo antecessor)(解析した歯は8本)、ホモ・ハイデルベルゲンシス(Homo heidelbergensis)(106本)、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)(146本)、および旧石器時代後期−中石器時代のホモ・サピエンス(100本)についてエナメル質形成速度を解析した。本論文では、旧石器時代後期−中石器時代のホモ・サピエンスの歯の成長パターンは現生人類と同一だが、ホモ・アンテセソールとホモ・ハイデルベルゲンシスは歯の成長期間がそれより短かったことを報告する。意外なことに、ネアンデルタール人は歯の成長期間が最も短かった。歯の成長は身体発育の優れた指標となるため、我々の得た結果から考えると、ネアンデルタール人はそのすぐ前の祖先種であるホモ・ハイデルベルゲンシスよりも発育が速かったことになる。ヒト科の進化では鮮新世−更新世の頃から歯の成長期間が長くなり、脳のサイズが増大した。ネアンデルタール人は大型の脳をもっていたにもかかわらず、発育期間は短いのが特徴だった。発育に見られるこの固有派生形質は進化の逆転であり、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人の間に種レベルの違いがあることを強く示すものだ。 Full Text PDF 目次へ戻る