Letter 気候:退氷期の気候変化に関連した大西洋の鉛直循環の衰弱と急速な再開 2004年4月22日 Nature 428, 6985 doi: 10.1038/nature02494 大西洋の鉛直循環(meridional overturning circulation)は、気候に影響を与えると広く考えられている。海洋循環の変化は、堆積物中の栄養分プロキシより導出される深層水の化学組成の記録からこれまで推測されてきた。しかし、このような再構築では循環速度に対しての十分な制約が与えられず、鉛直循環の変化が及ぼす気候への影響の評価は困難である。今回我々は、鉛直循環の運動学的プロキシである231Pa/230Thを、亜熱帯域北大西洋での堆積物コア中で測定した結果を報告する。鉛直循環は、17,500年前のカタストロフ的な氷山流出ハインリッヒイベントH1から始まる北大西洋地域における最も寒冷な退氷期にはほとんどまたは完全に消失し、また約12,700年前にはヤンガー・ドライアス寒冷イベントに向かって急激にかつ短期間に衰弱したということを発見した。これらの寒冷イベントに続いて、鉛直循環の急激な加速が、退氷期間における最も強い2つの地域的温暖化と同時に生じたことを、231Pa/230Thの記録は示している。これらの結果から、急激な気候変化に対して大西洋の鉛直循環の速さの変動が重要であることがわかる。 Full Text PDF 目次へ戻る