Letter 進化:花の適応に付随する遺伝的変化が将来の進化の可能性を狭める 2004年4月22日 Nature 428, 6985 doi: 10.1038/nature02489 広く認知された進化の原則の1つに、適応による変化はその後起こる進化の変化の方向を狭めてしまうとする原則がある。これを明文化したものの1つが、形質の除去は不可逆的だとするドロの法則である。進化の不可逆性が広く起こることは表現型移行の系統発生解析から報告されているが、この現象の裏にある諸原因についてはほとんどわかっていない。進化の不可逆性を説明するうえでよりどころとなるのは、多くの形質は複数の遺伝子産物どうしの相互作用からできあがるという事実である。こうした形質は、遺伝子ネットワーク内のたった1個の遺伝子の不活性化で失われてしまいがちなのかもしれない。ネットワーク内に残った遺伝子は、他の機能をもたない場合、自由に変異を蓄積したり新しい機能を進化させたりできる。形質を失ったあとの進化上の変化で、余分な機能喪失型変異が蓄積される。このように一連の経路が変性・退化すると、その形質がふたたび進化することは到底ありえない。なぜならこれには同時に複数の変異が必要だからである。今回我々は、ルコウソウ(Ipomoea quamoclit;ヒルガオ科の植物)の花の青色から赤色への適応的変化に伴って、アントシアニン色素経路にこうした退化の開始段階にあたるとみられるものを見つけたので報告する。 Full Text PDF 目次へ戻る