Letter

神経:感覚処理の際に起こる小脳顆粒細胞での量子統合

Nature 428, 6985 doi: 10.1038/nature02442

皮質の入力層で行われる計算処理について理解するためには、感覚によって誘発されるシナプス入力と、結果として生じる出力スパイクのパターンとの関係を決定することが重要である。小脳では顆粒細胞が入力層を構成し、苔状繊維のシグナルをプルキンエ細胞への平行繊維入力へと変換する。これまで、個々の顆粒細胞からの入力をin vivoで記録することは、細胞が小さいことと密にまとまっているために不可能だった。今回、全細胞パッチクランプ記録法を用いて、体性感覚刺激によって誘発される苔状繊維のシナプス電流と、それによって生じる顆粒細胞の出力パターンとの関係を明らかにした。顆粒細胞の発火頻度は低かったが、それにはGABAA(γ-アミノ酪酸A型)受容体がかかわる持続性の抑制性コンダクタンスによって興奮性が抑えられていることが部分的に影響している。感覚刺激は苔状繊維に興奮性シナプス後電流(EPSC)バーストを起こし、その総和が引き金となってスパイクのバーストが生じた。これらのスパイクのバーストは、わずか数個のEPSCの量子的放出によって誘発されたが、自然発生的な苔状繊維からの入力は、抑制が軽減されたときだけしかスパイクを誘発しなかった。これらの結果から、小脳の入力層が信号対雑音比の高い非常に精妙な感受性を保っていることがわかる。顆粒細胞のバーストは、グルタミン酸受容体の活性化と平行繊維シナプスの可塑性を引きおこす引き金となるのに適しており、小脳における入力提示と記憶の保存とを結びつける働きをしている。

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