Letter

進化:社会性をもつハナバチ類に見られる繁殖をめぐる綱引き

Nature 428, 6985 doi: 10.1038/nature02431

進化の過程で起こる主要な移行の1つに、単独生活をする生物から繁殖を分業する社会への移行がある。社会性の進化を理解するには、生態的、社会的、遺伝的な諸要因が合わさって、どうやって集団の安定性や集団構成員間での繁殖の分業に影響を及ぼすのかを知る必要がある。今回我々は、社会性の進化に影響すると考えられている3つの重要要因の働きを検証するため、社会性のあるオーストラリア産ハナバチ類の一種(Exoneura nigrescens)でこれらの要因を実験的に操作した。すると、巣の仲間どうしの血縁度が高くなるほど、集団構成員の繁殖は均等になり、個体あたりの生産力は大きくなった。これに対して、繁殖の偏りの程度は、単独で交配する機会や協同作用による潜在的な利得には影響を受けない。血縁度は、集団の安定性や全体の生産力にも正の効果をもたらす。これらの知見は綱引きモデル、つまり、繁殖の分業の程度が主に集団構成員どうしの利己的な競争によって決定されるとするモデルと適合する。別のモデルである、繁殖の偏りの程度は繁殖能のある個体どうしの社会的契約の結果だとする説は、今回のデータでは裏づけられなかった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度