Letter

発生:成体にまで生育可能な単為生殖マウスの誕生

Nature 428, 6985 doi: 10.1038/nature02402

単為生殖は母系生殖細胞だけから子孫を作る生殖方法だが、哺乳類だけはこれができなかった。マウスの単為生殖胚は妊娠10日目までに死んでしまう。両親性による生殖が必要なのは、雌雄配偶子形成過程における親特異的なゲノムの後成的修飾のためである。このインプリンティングを受けた遺伝子は、母系対立遺伝子と父系対立遺伝子が不均等に発現することになる。しかし、単為生殖による発生を妨げる要因がゲノムのインプリンティングだけであることを直接示す証拠は得られていなかった。今回我々は、母系ゲノムを二倍体としてもつ再構築卵母細胞から、生存可能な単為生殖マウス1匹を発生させた。この卵母細胞は非成長期の卵母細胞と完全に成長した卵母細胞から作成した。この発生が可能になったのは、非成長期卵母細胞のドナーとしてH19遺伝子を13キロ塩基欠失させた変異マウスを用いて、Igf2遺伝子とH19遺伝子を、その他のインプリンティングを受けた遺伝子とともに適切に発現させたからである。異常な発現をする遺伝子が著しく減ったことが、このマウスの完全な発生に結びついた。この単為生殖マウスは成長して、生殖力をもつ成体になった。今回の結果から、父方インプリンティングが単為生殖を妨げ、父系形質が子孫に必ず伝わるようにしていることがわかった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度