Letter 細胞:虚血心筋の造血幹細胞は成熟造血細胞となる運命をたどる 2004年4月8日 Nature 428, 6983 doi: 10.1038/nature02460 組織損傷を受けると、心筋の複製と再生が起こると報告されてきた。この過程に成体骨髄(BM)が関与するという研究報告が増えており、骨髄は心筋前駆細胞の貯蔵場所の役目をすると示唆されている。どのBM細胞が心筋になるのか、そしてそれが分化形質転換によるのか細胞融合によるのかはまだ明らかにされていない。今回我々は、梗塞モデルにおけるc-kitが豊富なBM細胞、Lin-c-kit+BM細胞およびc-kit+Thy1.1loLin-Sca-1+長期再構築造血幹細胞の心筋再生能力について調べた。緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現しているトランスジェニックマウスから細胞を取り出し、野生型マウスの虚血心筋に直接注入した。10日後には心筋中に多量のGFP+細胞が認められたが、30日後までにはほとんど認められなくなった。これらのGFP+細胞は、心筋細胞に特異的なマーカーを発現せず、むしろ、そのほとんどが造血マーカーCD45や骨髄マーカーGr-1を発現していた。さらに、GFP+-GFP-並体結合マウスを用い、循環細胞が虚血心筋の修復において果たす役割を調べた。この実験でも、パートナーに由来する血液によって運ばれる細胞による心筋の再生は認められなかった。以上の結果から、損傷のある心筋の微小環境においても、c-kitが豊富なBM細胞、Lin-c-kit+BM細胞およびc-kit+Thy1.1loLin-Sca-1+長期再構築造血幹細胞は、従来の造血細胞としての運命のみをたどると示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る