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細胞:造血幹細胞は心筋梗塞部で心筋細胞に分化形質転換しない

Nature 428, 6983 doi: 10.1038/nature02446

哺乳類の心臓は再生能力が非常に限られているので、損傷は瘢痕形成によって治癒する。造血幹細胞は組織の損傷や新たな環境に置かれることに応答して、骨格筋、肝細胞、上皮細胞、ニューロン、内皮細胞、心筋細胞などの、予想できない表現型に分化形質転換が可能なことが最近報告されている。また移植されたヒトの心臓は心臓外前駆細胞に由来する筋細胞を含み、それらは骨髄起源であった可能性がある。分化形質転換は生理的条件下では極めてまれにしか起こらないとほとんどの研究で示唆されているが、幹細胞の直接注入後に心筋梗塞部の広範な再生がみられることが報告されており、いくつかの臨床試験のきっかけとなっている。今回、心筋細胞に限定して発現するレポーター導入遺伝子と、いたるところで発現する同遺伝子を用いて、正常な成体マウスおよび損傷を受けた成体マウスの心臓への145例の移植後における造血幹細胞の運命を追跡した。このような遺伝学的手法で細胞運命を追跡した場合には、心筋細胞への分化形質転換は認められず、また幹細胞を移植した心臓では、偽移植した心臓と比較して心筋細胞の明らかな増加は認められなかった。以上の結果は、造血幹細胞が心臓の表現型を容易に獲得しないことを示しており、梗塞部修復に関する臨床試験に対して注意を喚起するものである。

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