Letter 生理:大腸菌のラクトース利用ネットワークには多重安定性が見られる 2004年2月19日 Nature 427, 6976 doi: 10.1038/nature02298 多重安定性とは、1組の外部入力に応じて複数組の内部状態を生じることのできる能力であり、ある種のスイッチを規定する特性である。生物的なスイッチ類は、多細胞生物において細胞の運命を決定したり、有糸分裂中に細胞周期振動を制御したり、微生物で後成的形質を維持したりするのに不可欠である。天然の系や人工的な系のいくつかに見られる多重安定性は、これらの制御ネットワーク中に正のフィードバックループがあるためだとされてきた。しかし、フィードバックだけでは多重安定性は保証されない。多重安定性を示す系の状態図は、主要パラメーターが変動する際の内部状態について簡潔に表記するものだが、これにより機能的スイッチを生み出すのに必要な諸条件が明らかになる。本論文では、大腸菌の双安定性のあるラクトース利用ネットワークの状態図を示す。我々はこの状態図をネットワークの数理モデルと連結させて、in vivoでの糖取り込みや転写調節などの過程を定量的に調べた。そして、野生型の系のヒステリシス応答が、極度に感受性が高く段階的に変化する応答に変換されうる仕組みを明らかにする。つまり、状態図は分子間相互作用を敏感に捉える手だてとなり、ネットワークを合理的に設計するための強い味方となる。マサチューセッツ工科大学(米) Full Text PDF 目次へ戻る