Letter

物理:熱放射の放出による物質波のデコヒーレンス

Nature 427, 6976 doi: 10.1038/nature02276

量子技術が進展してデコヒーレンスへの関心が高まってきた。デコヒーレンスは量子効果の出現を妨げ、量子効果を古典現象にしてしまう過程をいう。デコヒーレンスが生じる重要な原因の一つが量子系とその環境との相互作用である。相互作用によってこの二つが「からみ合い」、量子コヒーレンスが多数の自由度へと分配されてしまい、観測できなくなってしまう。デコヒーレンス理論を補うのは、外部のフォトンや分子と結合した物質波を使った実験、あるいはコヒーレントフォトン状態、トラップされたイオンそして電子干渉計を使った研究である。その中でも特に大型分子がこの量子‐古典遷移の研究に適している。それは大型分子が多数の内部自由度の中に非常に多くのエネルギーを蓄積できるためである。内部エネルギーは熱放射に転換され、その結果、デコヒーレンスが誘起される。本論文では物質波干渉計を使った実験を報告する。この実験ではC70分子が熱放射の放出によりその量子的挙動を失う。今回の実験結果は、微視的なデコヒーレンス理論と良好な定量的一致を見た。熱放射の放出によるデコヒーレンスはすべての巨視的な物体に関連すると思われる一般的な機構である。 ウィーン大学(オーストリア)

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