Letter 生理:細胞質のダイニンは負荷に応じてギアの働きをする 2004年2月12日 Nature 427, 6975 doi: 10.1038/nature02293 キネシンファミリー、ダイニンファミリーに属する細胞骨格の分子モーター類は、細胞内の微小管とよばれる直鎖状重合体構造に沿って積み荷(メッセンジャーRNAやエンドソーム、ウイルスなど)を輸送する。これらの「ナノマシン」はATP加水分解のエネルギーを使って力を発生させ、微小管上を一歩ずつ歩くように移動する。ダイニンは、他の分子モーター類とは基本的に異なる複雑な構造をもつ。したがってダイニンの力の発生機構を解明すれば、ナノマシンの構造と機能を理解する新たな手がかりが得られると考えられる。今回我々は光トラップを使って、1個の細胞質ダイニンモーターによって微小管に沿って運ばれるポリスチレンビーズの移動を定量した。積み荷がない状態でのダイニンの移動では、主として24 nmと36 nmの移動幅が混在している。光トラップによって負荷をかけて移動する時には、ダイニンの移動幅は8 nmに下がり、発生する力は最高1.1 pNに達する。移動幅と発生する力とのこの関係は、分子ギア機構と考えると矛盾がない。負荷がかかった際に移動幅を小さくし、より強い力で進めるようになる、つまりギアをシフトするには、ATPが得られることが必要である。負荷が引き金となってダイニン頭部にある第2の部位にATPが結合することにより、ギアがダウンシフトされるモデルをここに提案する。カリフォルニア大学アーバイン校(米) Full Text PDF 目次へ戻る