昆虫は種数からみると全生物の中で最も多様な系統であり、生態的にみても陸上生態系を優占している。だが、この動物の大規模な放散がいつどうやってはじまったかはまだ明らかになっていない。昆虫の進化の最初の段階を知る手がかりになる化石はごく少数であり、その中にはスコットランドの旧赤色砂岩のライニーチャート(プラギアン期;約3億9,600万〜4億700万年前)で見つかった標本がある。この地層は最古の陸上動物化石群を含む地層よりもわずかに新しい。ライニーで出土したなかで最もよく知られる動物は、トビムシの仲間Rhyniella praecursor(内顎類;トビムシ目)で、これは長い間最古の六脚類だと考えられていた。真正昆虫類(外顎類)については、北米のデボン紀後期層で見つかった無翅と見られる昆虫2体が最古の記録となっている。しかし今回我々は、ライニーで見つかった断片化した化石標本のRhyniognatha hirstiが、最古の真正昆虫類であるだけでなく、ごく初期の外顎類の中でも相対的に派生的なものである可能性があることを示す。実際、Rhyniognathaには有翅昆虫類と共通の派生的特徴があり、このことから翅の起源はこれまで考えられていたよりも古い可能性が出てくる。いずれにしても、Rhyniognathaは昆虫がシルル紀に現れたことと、最古の陸上動物相の一部で構成員となっていたことを示すものである。カンザス大学(米)、M S Engelおよびアメリカ自然史博物館