Letter 地球:ヒマラヤ山脈における浸食と降水量の分離 2003年12月11日 Nature 426, 6967 doi: 10.1038/nature02187 活動的な造山帯では浸食が空間的に急激に変化することで高い歪み速度が生じうるという仮説は、重力的なフィードバックを介して浸食過程をリソスフェアの変形と結合した数値モデルにより支持されている。そのようなモデルの多くは、河川の水量の増加、あるいは流路の勾配が急になることにより浸食速度が増大するという、「河川力」法則を用いている。したがって、降水量と斜面の勾配の空間的変動は、浸食速度と地殻歪みの勾配と相関があることが予測されている。本論文では、ネパールの大ヒマラヤ山脈全域にわたる気象観測網による観測データと、低温の熱年代学による地質学的時間スケール(10万年以上)での浸食速度の推定値とを組み合わせた。その結果、ヒマラヤの頂上部をまたがり、モンスーンの降水量が5倍以上も異なる、長さ約20 km以上にわたる地域では、地質学的な浸食速度の顕著な空間的変化は検出できなかった。降水量が減少しても急峻な流水路でその釣り合いが取られているわけではないことになる。その代わりに、流水路の幅や堆積物の濃縮など、河川の穿入に影響をおよぼす補足的な要因が減少した降水量を補っていると考えられる。全体としてみると、空間的に一定な浸食は、傾斜した地殻の上にある大ヒマラヤ山脈の岩体が構造地質学的に一様に隆起したことに応答したものであろう。 Full Text PDF 目次へ戻る