Letter 視覚:物体形状の分解的処理は行動の視覚制御には必要だが視覚認知には不必要である 2003年12月11日 Nature 426, 6967 doi: 10.1038/nature02156 物体形状の視覚認知は、その物体の持つある特徴が他の特徴から知覚的に分離され得ないという意味で「全体論的(holistic)」な処理過程に拠っている。一方、行動(たとえば物体をつかむこと)の視覚制御は、自覚的な知覚に関わる皮質領野とはおおむね独立な領野において処理されているが、物体の特徴のうち行動に最も関係のあるもののみを計算に入れ、他の関係のない特徴には惑わされないようにしなければならない。本論文では、知覚のための視覚と行動のための視覚では、根本的に異なる方法で物体を処理していることを示す2つの実験結果を報告する。さまざまな長方形を実験参加者に見せ、縦方向の長さは無視するとした上で、横幅を視覚的に判別する能力、および上下の2辺に指をかけて長方形をつかむ能力を調べた。参加者は横幅の視覚的判別をする際には縦の長さを無視することはできなかったが、物体をつかむ際には縦の長さに影響されることは全くなかった。これらの結果は、物体形状の基本的な特徴が全体論的に知覚されているような状況下でも、視覚に誘導された行動がその物体に向けられたときには、同じ特徴が分解的に処理されることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る