Letter

生態:共生生活をするハナシガイ科二枚貝の異常に伸びる足による硫化物の採掘

Nature 426, 6962 doi: 10.1038/nature02095

無脊椎動物の宿主と化学合成独立栄養細菌との共生関係では、両者の代謝要求条件がそれぞれ異なっており、宿主は通常、共生細菌が必要とする還元性化学物質(硫化物かメタン)を供給する。宿主は形態や生理、行動の面で複合的に適応しており、それが共生細菌への還元性化学物質の取り込みと輸送を促進させる。我々は軟体動物のハナシガイ科二枚貝の5種を調べた。このうち3種は化学合成独立栄養細菌と共生している。本論文では、この共生型二枚貝が足を伸ばして堆積物中に長く枝分かれした穴を掘ることを示す。これは還元性硫黄を手に入れるためである可能性が非常に高い。ごく近縁でも共生細菌をもたない二枚貝(一部のハナシガイ科種も含む)では、これに匹敵するような足を伸ばす行動が見られない。化学合成細菌と共生するハナシガイ科の貝が掘った穴の長さと数は、堆積物中の硫化水素の濃度と相関している。1個の貝の足によって複数の穴がつくられており、貝は殻の長さの30倍もの長さまで足を伸ばすことができる。これは、今まで報告された動物の体構造の伸張としては最大級の例だと思われる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度