Letter 物理:時間-周波数空間で観測したシリコンにおける準粒子の誕生 2003年11月6日 Nature 426, 6962 doi: 10.1038/nature02044 固体物理における準粒子の概念は、複雑な多体現象を一粒子励起によって記述する極めて強力な武器となる。電子、正孔、あるいはフォノンなど単純な粒子を導入すると、この粒子は他の粒子との相互作用を通して多体系を変形させる。このように、加えられた粒子は、多体系の応答を記述する自己エネルギーの雲によって「まといつかれる(dressed)」、あるいは「くりこまれる(renormalized)」ため、新しい存在、すなわち準粒子が生成される。超高速のレーザー技術を使えば、瞬間的に裸の粒子を発生させ、多体相互作用によってその後に起こるドレシング(すなわち準粒子生成)を、ハイゼンベルクの不確定性原理に支配される時間スケールとエネルギースケールで観測することが可能である。本論文では、10フェムト秒(10-14s)レーザーパルスによる励起に対するシリコンのコヒーレント応答について述べる。この光パルスは複素2次非線形感受率を通して試料と相互作用して結晶格子に作用する力を発生し、コヒーレントフォノンを励起する。過渡反射率信号を周波数‐時間空間に変換することで、コヒーレントフォノン生成とそれに続く電子‐正孔対励起によるフォノンのドレシング(dressing)に至る干渉効果を明らかにした。 Full Text PDF 目次へ戻る