Letter 細胞:短縮型のTrkB-T1はグリア細胞においてニューロトロフィンが誘発するカルシウムシグナル伝達を媒介する 2003年11月6日 Nature 426, 6962 doi: 10.1038/nature01983 ニューロトロフィンの受容体であるTrkBは、哺乳類の脳の通常の機能に必須である。TrkBには3種類のスプライスバリアントが存在する。完全長の受容体(TrkBFL)は、細胞内チロシンキナーゼドメインを有し、脳由来神経栄養因子(BDNF)やニューロトロフィン4/5(NT-4/5)の重要な効果を仲介していると考えられている。一方、短縮型の受容体(TrkB-T1およびTrkB-T2)はチロシンキナーゼ活性を欠き、速い細胞内シグナル伝達を引き起こすことはこれまで報告されていなかった。今回我々は、アストログリアは主にTrkB-T1を発現しており、BDNFを短時間作用させると、細胞内貯蔵所からカルシウムを放出するという応答を示すことを明らかにする。この一過性のカルシウム放出は、チロシンキナーゼ阻害剤K-252aを加えても失われることはなく、またTrkBFLを欠く変異マウスでも見られる。これに対して、神経細胞では、BDNFに誘発される速いシグナル伝達をTrkBFLおよびNav1.9チャネルを介して作り出している。グリア細胞においてTrkBメッセンジャーRNAのアンチセンス遺伝子を発現させると、BDNFによって誘発されるカルシウムシグナル伝達は著しく低下した。従って、今回の結果はTrkB-T1がイノシトール1,4,5-三リン酸依存性カルシウム放出において、予想外の直接的なシグナル伝達の役割を果たしていることを示し、さらには、脳におけるニューロトロフィンの作用のこれまで知られていなかったメカニズムを明らかにするものである。 Full Text PDF 目次へ戻る