病原性真菌類の植物細胞壁への侵入の失敗は、非宿主植物種(病原体の宿主域外の種)に対する免疫の主な構成要素であり、また「感受性のある」宿主植物に対して試みられた感染の失敗を基礎抵抗性として部分的に説明することができる。しかし、いずれの形式の侵入抵抗性も分子レベルで解明されるには至っていない。今回我々は、オオムギのウドンコ病菌(Blumeria graminis f. sp. hordei)に対する非宿主侵入抵抗機能が失われたシロイヌナズナのpenetration(pen)変異体のスクリーニングを行い、PEN1遺伝子を単離した。またB. g. hordeiに対する基礎侵入抵抗性に必要なオオムギのROR2遺伝子も単離した。両遺伝子は機能的に相同なシンタキシンをコードしており、単子葉類と双子葉類において非宿主抵抗性と基礎侵入抵抗性に機構的な関連があることを示している。本論文では、オオムギが示す抵抗性には、ROR2との2成分系SNAP受容体(SNARE)複合体を形成可能なSNAP-25(シナプトソーム関連タンパク質、分子量25 kDa)の相同体が必要であることを報告する。侵入部位における小胞の挙動が遺伝的に制御されていること、またPEN1/ROR2が細胞膜に位置することは、SNARE複合体が介在するエキソサイトーシス、または同型小胞の融合が抵抗性に関与するという仮説と矛盾しない。SNARE依存性の侵入抵抗性にかかわる機能は、系統特異的抵抗性(R)遺伝子群が関与する免疫には不要なので、2つの抵抗性の間には基本的な違いがあることが明らかである。