Letter 生化学:酵母S. cerevisiaeのスルフィレドキシンによるシステイン-スルフィン酸のATP依存性還元 2003年10月30日 Nature 425, 6961 doi: 10.1038/nature02075 タンパク質には、酸化されやすいチオール基をもつシステイン残基が含まれ、これが「損傷」として、あるいは酸化剤に依存したシグナル伝達を介して、生体機能を損なう可能性がある。酸化されてスルフェン酸となったシステインのチオール基は一般に不安定で、近くのチオール基とジスルフィドを形成するか、さらに酸化されて安定なスルフィン酸となる。システイン-スルフェン酸とジスルフィドは、生体系ではグルタチオンまたはチオレドキシンによって還元されることが知られているが、システイン-スルフィン酸誘導体は、タンパク質の不可逆的修飾と考えられてきた。今回我々は、相対分子質量Mr=13,000の酵母タンパク質を同定し、これをスルフィレドキシン(sulphiredoxin:Saccharomyces Genome Databaseでは、米国流にsulfiredoxinというスペリングが使われている)と名づけた。このタンパク質は高等真核生物でよく保存されており、酵母のペルオキシレドキシンTsa1のシステイン-スルフィン酸を還元する。ペルオキシレドキシンは、チオール基をもつ哺乳類に普遍的に存在する抗酸化剤で、ヒドロペルオキシドを還元し、ヒドロペルオキシドを介したシグナル伝達を制御する。スルフィレドキシンが触媒する還元反応はATPの加水分解とマグネシウムを必要とし、活性部位にはよく保存されたシステイン残基があって、これが一時的にTsa1とジスルフィド結合を形成する。スルフィレドキシンによるシステイン-スルフィン酸の還元では、リン酸化による活性化の後にチオールによる還元反応が起こると我々は考える。スルフィレドキシンはペルオキシレドキシンの抗酸化機能に重要であり、またシステイン-スルフィン酸修飾を受けたタンパク質の修復や、タンパク質酸化に関与するシグナル伝達経路にもかかわっている可能性が高い。 Full Text PDF 目次へ戻る