Letter 医学:ヘッジホッグは膵臓癌形成の初期および後期メディエーターである 2003年10月23日 Nature 425, 6960 doi: 10.1038/nature02009 ヘッジホッグシグナル伝達系は胚での膵臓の発生に不可欠な経路で、その制御の異常が数種類の癌にかかわることがわかっているが、ヒトの膵臓癌でも重要なメディエーターであるらしい。本論文では、膵臓の腺癌とその前駆的病変である膵上皮内新生物(PanIN)において、分泌性のヘッジホッグリガンドであるソニックヘッジホッグの発現に異常があることを報告する。Pdx-Shhマウス(膵臓内胚葉でShhが異所性発現されているマウス)の膵臓には、ヒトPanIN-1とPanIN-2の表現型によく似た異常な細管構造が生じる。さらにこれらのPanIN類似病変にはK-rasの変異とHER-2/neuの過剰発現が見られるが、これはヒト膵臓癌の進行初期に見られる遺伝的変異である。また、原発性膵腺癌、転移性膵腺癌から樹立した細胞株でも、ヘッジホッグシグナル伝達系が活性を保っている。また興味深いことに、ヘッジホッグシグナル伝達のシクロパミンによる阻害は、in vitroでも、in vivoでも、一部の膵臓癌細胞株のアポトーシスを誘導し、増殖を阻害した。これらのデータから、この経路が膵臓癌の発生の早い段階で重要な役割を果たす可能性があること、ヘッジホッグシグナル伝達の維持が異常増殖と腫瘍形成にも重要であることが示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る