Letter 環境:高濃度の二酸化炭素環境における対流圏オゾンによる土壌中炭素形成の低下 2003年10月16日 Nature 425, 6959 doi: 10.1038/nature02047 北半球では、対流圏のオゾン濃度が過去100年間に35%上昇しており、森林生産性が二酸化炭素濃度の上昇で高められるにもかかわらず、森林および農業の生産性に有害な影響を及ぼしている。対流圏のオゾン濃度の上昇は、生産性の低下に加えて、土壌への炭素の取込みの量および質を低下させることで陸上の炭素循環を変化させていると考えられる。しかし、オゾン濃度の上昇が土壌中炭素の形成および分解に及ぼす作用は不明である。今回、ポプラの一種であるアメリカヤマナラシ(Populus tremuloides)の実験林分、およびカバの一種Betula papyriferaの混合林分を対象に、高濃度の二酸化炭素環境において高濃度のオゾンが、総土壌中炭素の形成率、および分解耐性をもつ酸不溶性の土壌中炭素の形成率に及ぼす影響を調べた。オゾンおよび二酸化炭素の両方の大気中濃度を50%上昇させたところ、総土壌中炭素および酸不溶性の土壌中炭素の形成率は、高濃度の二酸化炭素だけの環境で林分を生育させた場合に土壌に取り込まれる量に対して50%低いことがわかった。以上の結果は、大気中の二酸化炭素濃度が上昇傾向にある現在では、オゾン濃度の上昇による地球規模の植物生産性の低下が、土壌中炭素の形成率も有意に低下させることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る