Letter 発生:Wnt/β-カテニン経路は心臓の弁膜の形成を制御する 2003年10月9日 Nature 425, 6958 doi: 10.1038/nature02028 癌抑制因子である大腸腺腫症(Apc)タンパク質が、末端まで合成が進まない切断型になると、Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路が構成的に活性化される。Apcは発生において役割をもっている。たとえば、切断型Apcをもつマウス胚は、原腸形成を完了させない。Apcの役割をさらに充分に理解するために、われわれはゼブラフィッシュの発生に切断型Apcが及ぼす影響を調べた。本論文では、マウスとは対照的に、ゼブラフィッシュは原腸形成を完了させることを明らかにする。しかし、この変異体の心臓はループを形成できず、心内膜床を過剰に形成する。逆に、Apcあるいは分泌型のWnt阻害物質であるDickkopf 1(Dkk1)を過剰に発現させると、心内膜床の形成は阻害される。野生型の心臓では、標準的Wntシグナル伝達の活性化の特徴である核内β-カテニンが蓄積するのは弁膜を形成する細胞だけであり、そこではβ-カテニンはTcfレポーターを活性化できる。変異体の心臓では、あらゆる細胞に核内β-カテニンとTcfレポーター活性がみられ、一方、弁膜マーカーの発現は顕著に正の制御を受けている。それに伴って、正常なら心内膜床に限られている増殖と上皮-間充移行が、心内膜全体で起こっている。これらの知見は、Wnt/β-カテニンシグナル伝達が、心内膜細胞の運命の決定に新たな役割を果たしていることを明らかにするものである。 Full Text PDF 目次へ戻る