Letter 脳:ヒトの記憶の固定化および再固定化における異なる段階 2003年10月9日 Nature 425, 6958 doi: 10.1038/nature01930 従来の研究で「記憶の固定」という用語は、時間の経過にともなって、記憶が競合要因あるいは混乱要因による干渉に対して次第に耐久性を増していく過程を指す。熟練を要する感覚・運動課題の学習(「手続き学習」)に関する最近の発見により、この定義はさらに改良され、固定化は、覚醒や睡眠、あるいは睡眠のある一定の段階など、脳が特定の状態にあるときに経過した時間によってより厳格に決定されうると示唆されている。一方で、過去に固定化された記憶を想起ないし「再活性化」すると、そうした記憶は再び脆弱化して干渉の影響を受けやすくなり、それゆえ再固定化の期間が必要となるという可能性にも最近改めて興味が持たれるようになってきた。本論文では、指先でキーを叩くという運動技能課題を用いて、ヒトの運動記憶が処理されていく過程には、最初の獲得以後に少なくとも3つの異なる段階が存在する証拠を示す。我々は、異なった型の固定化の進行に覚醒と睡眠がそれぞれ異なる固有の役割を果たしていること、そして覚醒時の再活性化は以前に固定化されていた記憶を後で再固定化が必要となるような不安定な状態に引き戻しうることを示す。 Full Text PDF 目次へ戻る