Letter 発生:ショウジョウバエにおける神経芽細胞の反応能の調節 2003年10月9日 Nature 425, 6958 doi: 10.1038/nature01910 網膜、大脳皮質、そしておそらく脊髄でも、個々の神経前駆細胞は決まった順序で異なる種類の細胞を生み出していく。神経前駆細胞が、時間の経過に伴いどのような変化を起こして、異なる種類の細胞を生み出すのかはわかっていない。神経前駆細胞は段階的に反応能が制限されていくか、または反応能の異なるいくつかの状態を移行していくと考えられてきたが、その基盤となる分子機構は未だ不明である。本論文では、in vivo の遺伝学的実験系として、ショウジョウバエDrosophila の神経芽細胞を用い、神経前駆細胞の反応能と時間による細胞特性の解析を行った。神経芽細胞ではHunchback 転写因子が初期の細胞運命の指定に必要十分とされる。神経芽細胞は Hunchback に応答することで初期の運命へと分化する反応能を徐々に失っていくが、これは反応能が順次制限されていくとするモデルに似た過程であることがわかった。また初期の運命を獲得する反応能は分裂期の神経前駆細胞にはあるが、分裂停止した神経細胞では失われていることも明らかになった。これらの結果は脊椎動物での観察結果と一致し、神経前駆細胞の反応能と可塑性の分子遺伝学的解析のモデル系として、ショウジョウバエの神経芽細胞を使用できることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る