Letter 生態:温度条件はN2固定異質細胞性シアノバクテリアの熱帯海域における生存を妨げる 2003年10月2日 Nature 425, 6957 doi: 10.1038/nature01999 異質細胞(ヘテロシスト)を持たないシアノバクテリア(藍色細菌)からなるTrichodesmium属は、熱帯海洋で優勢なN2固定生物であるが一方で淡水湖やバルト海などの汽水環境におけるN2固定の大部分を占めるのは異質細胞を持つ種である。異質細胞は、O2によるニトロゲナーゼの不活性化を防ぐことで、シアノバクテリアによるN2の固定と光合成を同時に可能とする理想的な戦略と考えられるが、熱帯遠洋には異質細胞を持つシアノバクテリアが存在しないことについて、これまで十分な説明はなかった。Trichodesmium類はN2固定能をもつが、異質細胞を分化させる必要はないようである。本論文では、O2流量、呼吸、N2固定活性の温度依存性の差によって、Trichodesmium類が異質細胞を作る種と比較して高温環境で良好に生育可能な理由を説明できることを報告する。また今回得られた結果から、Trichodesmium類が温帯海域または冷たい海域で生育できない理由を説明することもできる。ただし、温帯海域および低温の海域の遠海に異質細胞を持つシアノバクテリアが存在しないことについては別の説明が必要である。 Full Text PDF 目次へ戻る