Letter 視覚:桿体と錐体の光伝達における視色素の特性が果たす役割 2003年10月2日 Nature 425, 6957 doi: 10.1038/nature01992 網膜の桿体と錐体は、サイクリックGMPがかかわる光伝達系を共有している。錐体は桿体に比べ光感受性は概して100分の1と低く、応答の反応速度は数倍速いが、その基盤となる機構はほとんど解明されていない。光伝達にかかわるタンパク質のほとんど全てに、桿体型と錐体型とがそれぞれ存在する。桿体色素と錐体色素の特性にはちがいがあり、たとえば、メタ-II状態(活性なコンホメーション)の寿命は錐体色素の方が10倍も短く、自発的に起こる異性化が自然に起こる率が高い。しかし、それが桿体と錐体の機能的なちがいにどのように関係するかは推測の域を出ていない。我々は、アフリカツメガエルの桿体でヒトあるいはサンショウウオの赤色の錐体色素を、またアフリカツメガエルの錐体でヒト桿体色素を発現させることによって、この問題を検討した。本論文では、同一細胞内では桿体色素も錐体色素もまったく同じ増幅率、同じ速度の光応答が生じることを明らかにし、2つの視色素のシグナル伝達特性には何らちがいがないことを示す。錐体の赤色色素では、桿体色素に比べると10,000倍もの頻度で自発的な異性化が起こる。この頻繁な自発的異性化により、正常な錐体は暗黒にも適応し、桿体に比べて光感受性は低く、応答速度は速くなる。しかし、このようなちがいにはおそらく他の要因もかかわっているのだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る