Letter

医学:Hsp90阻害剤に腫瘍選択性を付与するのはHsp90の高親和性コンホメーションである

Nature 425, 6956 doi: 10.1038/nature01913

熱ショックタンパク質90(Hsp90)は、HER-2/ErbB2、Akt、Raf-1、Bcr-Ablおよび変異型p53など腫瘍形成性シグナルタンパク質のコンホメーションの成熟に重要な役割を果たす分子シャペロンである。Hsp90の阻害剤はHsp90に結合し、Hsp90の結合相手であるタンパク質をプロテアソームで分解する。Hsp90はほとんどの細胞で大量に発現しているにも関わらず、Hsp90阻害剤は正常細胞と比べると癌細胞を選択的に殺すため、Hsp90阻害剤である17-アリルアミノゲルダナマイシン (17-AAG)の第I相臨床試験が目下進行中である。しかし、Hsp90阻害剤の示す腫瘍選択性の分子的な基盤は明らかになっていない。本論文では、腫瘍細胞由来のHsp90は、正常細胞由来のHsp90に比べると17-AAGに対する親和性が100倍高いことを報告する。腫瘍細胞のHsp90は全部が、ATPアーゼ活性の高い多シャペロン複合体として存在するが、正常細胞のHsp90は複合体を形成せず、非活性型で存在している。In vitroでHsp90を使ってシャペロン複合体を再構成したところ、17-AAGへの結合親和性とATPアーゼ活性が上昇した。これらの結果から、腫瘍細胞にはHsp90複合体が含まれており、この複合体は悪性化を促進する、活性型で高い親和性を持つコンホメーションをとっていて、このことが癌治療において独特の標的を作り出している可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度