Letter 進化:海洋植物プランクトンでは進化の過程で元素が化学量論的に継承されている 2003年9月18日 Nature 425, 6955 doi: 10.1038/nature01953 植物プランクトンとは19世紀に生まれた生態学上の構成概念であって、外洋にすむ光合成独立栄養生物からなる生物学的に多様な一群をさすが、代謝機能は共通でも進化史は共通ではない。陸上植物と違って、真核生物の植物プランクトンでは進化の過程で1回の大きな分離が起こり、これによって2つの主要な色素体スーパーファミリーが生じた。そのうち緑色スーパーファミリーは光合成補助色素としてクロロフィルbを使うが、紅色スーパーファミリーはクロロフィルcを使う。化石上の証拠から、古生代の海洋では緑色スーパーファミリーが繁栄していたことが示唆されている。だが、ペルム紀末の生物大量絶滅ののち、紅色スーパーファミリーの仲間が生態的優位を占めるようになった。この交代劇が起こった経緯ははっきりしていない。我々は今回、この2大スーパーファミリーの海洋植物プランクトン15種に含まれる主要栄養素と微量元素を解析した。この結果から、2つの色素体スーパーファミリーには秩序立った系統発生上の違いがあることがわかった。すなわち、多量栄養元素(炭素、窒素、リン)の化学量論は主に共生前の祖先宿主細胞の表現型を反映しているが、微量元素の組成は獲得した色素体の違いを反映している。2つの色素体スーパーファミリーに見られる組成の違いからみて、海洋の酸化還元状態の変化が原生代以降の真核植物プランクトンの進化と選択に大きな影響を及ぼしたようだ。 Full Text PDF 目次へ戻る