Letter 医学:ケモカイン受容体CXCR4はフォンヒッペル・リンダウ腫瘍抑制タンパク質pVHLによって抑制される 2003年9月18日 Nature 425, 6955 doi: 10.1038/nature01874 臓器特異的な転移は、癌細胞のケモカイン受容体と、標的臓器中のそれに対応するケモカインとの相互作用によりある程度決定される。例えば、悪性の乳癌細胞はケモカイン受容体CXCR4を発現しており、CXCR4に特異的なリガンドであるストロマ細胞由来因子1αが豊富な臓器に転移するのが一般的である。成長中の腫瘍細胞がどのようにしてCXCR4を発現させるように再プログラムされ、特定の臓器に転移する傾向が備わるのか、それは未だわかっていない。本論文では、フォンヒッペル・リンダウ腫瘍抑制タンパク質であるpVHLが、正常な酸素条件下では低酸素誘導性因子(HIF)を標的として分解できるため、CXCR4の発現に負の制御を加えていることを明らかにする。この過程は低酸素条件下では抑制され、HIFに依存してCXCR4が活性化される。ほとんどの場合VHL遺伝子に変異が起こっていることが明らかな明細胞腎癌の解析から、CXCR4が強く発現している場合は腫瘍特異的生存率が低い事が明らかになった。今回の結果は、腫瘍細胞の成長の過程におけるCXCR4の活性化機序を示唆している。腫瘍発生初期に初発性の腫瘍細胞でVHLが不活性化されると、細胞の生存が選択的に優位になるだけでなく、特定の臓器への転移傾向も与えられるのだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る