Letter 進化:実験細菌集団にみられる協力と競争の進化 2003年9月4日 Nature 425, 6953 doi: 10.1038/nature01906 生物学における基本的な問題の一つが、進化の過程における単細胞から多細胞生物への移行である。この移行の間に、選択を受ける単位は個々の細胞から協力関係にある細胞集団へと変わっていく。この問題については多くの理論が発表されているが、実証的な研究は極めて少ない。本論文では、空間的に不均一な環境で増殖させた蛍光菌Pseudomonas fluorescensの実験個体群の進化的移行について報告する。協力関係にある集団は、個体の利益を集団の利益に一致させる接着性ポリマーの過剰生産により形成される。協力関係のコストと利益に加えて、協力に離反する遺伝子型に対する進化的感受性を解析することで理論との整合性を検討した。協力関係は個体にとって「支出」となるが、集団には利益をもたらした。離反型の遺伝子型は、協力的な遺伝子型によって形成された集団内で進化し、協力型の遺伝子型がない場合よりも存在する場合の方が適応性が高かった。短期的に見た場合、離反型は集団の生存を妨げたが、以上の知見は、高次の複雑性への移行が容易に起こることを示しており、選択条件について考察させ、また個体性の進化の実験的解析を容易にするものといえる。 Full Text PDF 目次へ戻る