Letter 進化:初期の四肢動物に見られる固有に特殊化した耳 2003年9月4日 Nature 425, 6953 doi: 10.1038/nature01904 デボン紀後期のイクチオステガ属は、知られるうちで最古の四肢動物であり、魚類と陸生脊椎動物の間の移行形態を示す唯一の動物だと何十年間も考えられてきた。だが、1932年に多数の標本が見つかってその存在が知られるようになったにもかかわらず、イクチオステガの形態は未だに謎のままであり、ごく原始的な四肢動物に備わっていたと思われる形態とは異なっている。一見してわかる種々の特殊化から、この動物は四肢動物の系統樹から派生した「行き止まりの傍系」あるいは「側枝」にあたると考えられるようになり、また最近の分岐分析結果から、四肢動物の幹系統内におけるその厳密な系統上の位置づけに異なる意見が出されるようになっている。とりわけ脳函と耳域については解釈がつかず、従来の解剖学用語が当てはまらないように思われたほどだった。我々は今回、1998年に収集された新しい化石、それ以前に収集された化石の標本、そして高解像度CTスキャン技術を使って、これまでよくわかっていなかったこれらの解剖学的構造を明らかにし、解釈をつけた。この成果から、これらは、おそらく水中で使われる聴覚装置であったと考えられる高度に特殊化した耳の一部であるとみられる。この構造は、四肢動物の耳域が構造的・機能的に固有の変化をとげたものであり、その後の四肢動物の進化の過程で登場したいかなる構造とも違っている。同じ時代に生息したアカントステガにみられるような深い溝が刻まれた鰓弓を備えていることから、イクチオステガはこれまで考えられていたよりもずっと水中生活に適応した動物だったのかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る