Letter 生化学:cis-synチミン二量体複製の原子レベル分解能での解析 2003年8月28日 Nature 424, 6952 doi: 10.1038/nature01919 紫外線は、隣接したピリミジン間での共有結合形成を触媒してDNAに損傷を与える。中で最も多いのは、cis-synシクロブタン型ピリミジン二量体(CPD)の生成である。CPDは、忠実度の高いDNAポリメラーゼによるDNA複製を阻害するが、YファミリーのDNAポリメラーゼpol ηは、CPDに邪魔されずに効率よく複製を進めることができる。日光に過敏性を示し皮膚癌を起こしやすいという特徴をもつヒトの色素性乾皮症では、その20%近くで、pol ηをコードするPOLH遺伝子の変異が見られる。今回我々は、古細菌のもつpol η相同体Dpo4とCPDを含むDNAとが形成した複合体の結晶構造を決定した。この複合体では、CPDの3′側チミンと5′側チミンは別々に鋳型塩基として働く。CPDの3′側チミンはジデオキシATPが取り込まれるとワトソン-クリック塩基対を形成するが、5′側チミンはsynのコンホメーションをとってジデオキシATPとフーグスティン塩基対を形成する。Dpo4はどちらの場合も同じような三次構造をとっているが、2つの異常なDNA構造はどちらも触媒部位にうまく適合する。酵母Saccharomyces cerevisiaeのアポpol ηの結晶構造とこのDpo4-CPD複合体の結晶構造をもとに作成したpol η-CPD複合体のモデルから、pol ηがCPDをバイパスして効率よく進める原因となる独特な特徴が示される。 Full Text PDF 目次へ戻る