Letter 細胞:RNA結合タンパク質によるMAPKシグナル伝達系のフィードバック制御 2003年8月21日 Nature 424, 6951 doi: 10.1038/nature01907 マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)は進化上よく保存された酵素で、細胞外シグナルを変換して、細胞の増殖、分化、細胞死といったさまざまな現象をもたらす。MAPKホスファターゼは、MAPKの重要な働きをするリン酸化トレオニン、リン酸化チロシン残基を脱リン酸化することによって、選択的にMAPKを不活性化する。MAPKホスファターゼの発現は、種々の刺激によって転写段階での誘導が起こるが、その刺激にはMAPKの活性化も含まれ、MAPKシグナル伝達系の負のフィードバック機構として詳しく調べられている。本論文では、KHドメインをもつ分裂酵母の新しいRNA結合タンパク質Rnc1が、Pmk1に対するMAPKホスファターゼであるPmp1のメッセンジャーRNAに結合して、これを安定化することを報告する。つまりRnc1はPmk1シグナル伝達系の負の調節因子として働く。しかもPmk1がRnc1をリン酸化すると、Rnc1のRNA結合活性が強化される。このようにRnc1は、Pmp1のmRNAへの結合によってPmk1経路を調節する、新しい負のフィードバックループの構成因子である。今回我々が発見した、転写後のMAPKホスファターゼmRNAのRNA結合タンパク質による安定化という現象は、新たな制御機構としてMAPKシグナル伝達系の微調整を行うのだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る